2013年3月26日火曜日

エル・ブリとMAKERSに見る、イノベーションの方程式

スペインを学生時代に一度訪れている。それはサグラダ・ファミリアを見たかったから。動機はそれだけだった。


実際に訪れて感じたことは、「ご飯が美味い!」ということだ。

1日目からピカソが行きつけのレストランに行き、めちゃくちゃ美味いと思った矢先にめちゃくちゃ高い請求書にビビったのがよい思い出だ。

次の日からは定食しか食べなかった。また値段を最初に確認するのが習慣化した。

友達とそれぞれ違うメニューを頼んで、誰もが毎食で一喜一憂するという遊びが食事時の楽しみとなった。

こんな思い出から意外にスペインと聞くと”食”のイメージが自分は強い。


人口18万の街がなぜ美食世界一になれたのか―― スペイン サン・セバスチャンの奇跡(祥伝社新書284)

そんな中で出会ったのが上記の本だ。

サン・セバスチャンというスペイン北部の町がいかにして”食”を観光資源へと昇華させたかが語られている。

フランス料理のヌーベル・キュイジーヌ(新しい料理)に感銘を受けたサン・セバスチャンのシェフ、アルサックはヌーベル・キュイジーヌの探求を始める。

この探求は最終的に「ヌエバ・コッシーナ」(スペイン語でのヌーベル・キュイジーヌ)として世界から注目を浴びる。

世界一予約のとれないレストランのエル・ブリにより更にヌエバ・コッシーナは注目を浴びる。

エル・ブリについては映画にもなっているの以下動画。



エル・ブリの料理長フェラン・アドリアについては最新号のWIREDに「天才料理人フェラン・アドリアの近未来味覚ラボラトリー」として特集がくまれているのでそれを読むのもよい。彼が何がしたいのかがワクワクしんがら理解できる。


フェラン・アドリアは今はエル・ブリを閉店し、エル・ブリ財団を立ち上げている。

この財団の目的は料理のイノベーションのためのデータベースを構築し、Webに公開することだとしている。今イチどんなものなのかイメージできないが、2013年公開予定なので期待して待つしか無い。

この財団において彼は料理の科学的な体系化と研修生への教育も行っている。

ここから読み取れるキーワードは、①科学的な体系化=フォーマットの統一、②研修生への教育=オープンマインド、オープンソース化 の2つだ。

実はサン・セバスチャンの料理人達もこれと同じことをしている。秘伝のレシピを守るのではなくそれをオープンにすること、教え合う事で地域としての”味”の底上げをしたことで地域全体でご飯が美味しくなり、観光資源へと昇華したのである。

話はここから脱線していく。

この2つのキーワード、①フォーマット統一 ②オープンソース(共有)に気付いた時に思い出しのが、以下の本「メーカーズ」だ。


MAKERS―21世紀の産業革命が始まる

この本の中では簡単に言うと、「ファイルフォーマットの統一された3D CADデータをインターネットを通じてオープンソースに共有することで、個人全体の技術の底上げがされ、これに3Dプリンターが加わることで誰しもメーカーになれるのだ!」という未来を予言した書となっている。かなり乱暴な要約ではあるが。

料理と3Dプリンターとカテゴリは違えど、方向性が同じということがおもしろい。これらキーワードが今後のひとつの方向性ではないかと確信している。

飛び抜けた探求により注目を得て、それを惜しげもなく公開することで面積を広げ、教育、教え合いにより面積から体積へと底上げを図る。これが何か事を起こすときの方程式なのではないだろうか。

何か事を起こしムーブメントとしていく原理原則はいつの時代であっても変わらないのだ。

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